『Vol.25』BIGBANGの大進撃の裏側

〇〇研究所

どーも、どーも、『韓国音楽業界研究所』のぺ所長です。

いやいや、近年の『BIGBANG』のワールドツアーの興行成績が全盛期の頃のマイケル・ジャクソンに負けないほど凄まじいですね。

自他共に認める韓国一のムービースター『ファン・ジョンミン』ですらチケット購入に失敗。YG所属となった後輩俳優『カン・ドンウォン』のコネを使い、やっとの思いで2階の席のチケットをゲットしたのがニュースになるくらいの大フィーバーぶり。

僕のヌナを含めた周りの知人たちのチケットゲット率もあっけなく『ゼロ』に終わり、「どうして韓国でもっとライブをやらないのか」とみんなため息を漏らしていましたよ。

数字上アジアのライブキング

「BIGBANG WORLD TOUR 2015~2016【MADE】」の数字上の記録➡︎「全世界13カ国・32都市・66回公演・観客動員数150万人」

まぁ凄すぎます。韓国のアーティストでは過去に前例がないほど飛び抜けた数字であるし、文句のつけようがない大記録。

しかしですよ。細かくチェックをしてみると。上記の150万人の中、日本でのドームツアーだけの観客動員数が91万人なのに対し、今月ソウルで3日間行われたファイナル公演の観客動員数は約3万9千人。

なんと母国である韓国と遠征地の日本での観客動員数に30倍の開きが生じたわけです。しかも、日本では全国各地のドームで観れる彼らのツアーが、韓国ではソウルのみでなおさら1万人そこそこが入れる小さい箱での開催。

これはですね。韓国の地方に住んでいるBIGBANGのファンたちはそれをどう受け止めているのか気になるところでもあります。

91万人vs3万9千人

この数字の差が表すようにBIGBANGのライブ活動は異常に日本の方へ偏っている。確か、日本のファンの中には次々の決まっていく追加公演で「お金がかかってしょーがない」という声も上がっていますが、一方韓国のファン曰く「そんな贅沢なこと言わないでよ〜こっちではたった3回の公演で、なおさらチケットも手に入らないんだからさ!」。

まぁ両者の温度差がとても面白い。そしてその気持ちも痛いほど分かります。

さて、BIGBANGはなぜ地元のライブ活動を捨てて日本遠征に徹底してるのか?

個人的な見解を言わせて頂きますと、いくつかの理由があると考えております。

その一つ目。韓国には4〜5万人を受容できるかつ、音楽ライブに適した大型公演場が存在しない。まぁBIGBANGのように5万人をいとも簡単に動員できるアーティストも数少ないと言えるのでしょう。従い、需要がないどころには供給も発生しない。といった経済論の中でも最も基本的な理由を挙げられます。

二つ目。アメリカに次いで世界2位と言われる大規模の音楽市場を持つ日本の成熟された公演文化。これにはいつも感心してしまうのですが、日本の方って本当にライブが好きなんですよねー。

ひとつ例をあげると。日本では『グンちゃん』と呼ばれるチャン・グンソクでさえ東京ドームのコンサートをsold outさせるチケットパワーを持っている。これって韓国ではあり得ない話なのです。そもそも彼が俳優業の他にアーティスト活動を兼ねているのを韓国の人はほとんど知らないし、もし知っているとしてもライブに人が集まるとはとても思えない。

というわけで。日本で人気を得ている韓国スターにとってはファンミなどのイベント一つにしても確実に収益が得られる日本の市場がとても魅力的なのです。

そして、最後。韓国の男子アイドルの永遠のテーマでもある『兵役義務』

こればかりはBIGBANGも例外ではなく来年GDとTOPが入隊すると噂されている中、所属事務所のYGエンターもその対策に悩まされているのでしょう。メンバーの中で一番若いスンリ君も確実に数年以内には入隊をせねばならないので、『完全体』で復活するには5年ほどの歳月がかかってしまう。

事務所にとっては毎年日本ツァーだけで100万人ほどを動員し、チケットマネーも、グッズマネーも、宇宙レベルに稼ぎあげる彼らの5年間のブランクで金銭的に相当なダメージを受けるに違いない。そして若手のグループが伸びてきてはいるものの、もはやアイドル界では『神の存在』に達しているBBの波及力には到底及ばない。

まぁ社長のヤンさんは株価激減まで覚悟せざるを得ないのでしょう。近頃、お笑い芸人から俳優まであらゆる有名人を立て続けにスカウトし、そのマネジメントの領域を広めているのも『BB入隊対策』だと個人的には考えています。

結論を言いますと。韓国内で全国ツアーのライブを10回やったって、せいぜい10万人ほどしか集まらないのが現実。さらに、来年まで『南北統一』という奇跡が起きる可能性もゼロなので、メンバーの入隊は避けては通れない道。

「地元のファンには申し訳ないけど、日本での活動に専念するしか方法がないよ〜」というのが現在のYGエンターの最善策であるのでしょう。

まぁ僕も、小さいお店ではあるが、経営者の立場で考えても、代案がないので仕方ないと思っています。

我々、地元のファンが広い心を持って、一歩譲るしかない。うーん。そうです。少なくとも僕は暖かく見守ってあげることにしますよ〜。

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マッコリマン
tomodachinguのソウル本部長です。
主に企画をしたり、取材をしたり、文を書きます。
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