【第22回】中2のスケベ心が招いた大ハプニング③

ソウル市教育庁は教師が10万ウォン以上の『촌지・寸志』を1度でも受け取った事実が認められると罷免・解任など重懲戒する『ワンストライクアウト制』を施行している。それにより、不法賄賂の処理件数は2013年10件、2014年8件、2015年6件と毎年減少していると発表。今でもこう言う制度が存在するのを見てると、80〜90年代の実態がどれほど深刻だったのか分かるような気がする。

ルールは3秒まで

1限目の美術の授業が終わると僕は周りに座っている3人の子を集めて特攻隊を結成し、早速『数学先生のパンツ覗き見作戦』の打ち合わせに入った。

「みんな、よ〜く聞けよ。あの先生は勘が良さそうな雰囲気だから、手鏡さばきは3秒以内を鉄則とする。チャンスは一度だけだ。我々4人で1回ずつ。それ以上は危ないぞ。分かったか?」

我々はハイタッチで意気投合。ハラハラドキドキの胸騒ぎで2限目の数学授業に臨んだ。その日はちょうど模擬試験の時間で先生は生徒たちの回答に一々目をやりながら教室内をぐるぐると歩きまわっている。

さてと、作戦開始のタイミング。我々が座っている一番後ろの席の方へターゲットがゆっくりと歩み寄ってきた。我々は事前に決めていた順で素早く手鏡を先生のスカートの下へさり気なく突きだすのだった。

「なんだ。何も見えないんじゃねーかよ…。やっぱ、3秒じゃ無理なんだよなー」我々は必死に笑いを堪えながら小声でささやく。

が、その瞬間。僕の隣の向かいに座っている『超真面目な奴』が、急に立ち上がり、僕を指さして「先生〜ヒョンソク君が変なことをしています!」と叫びだしたのである。

【その後の流れ】

超真面目な奴が先生に全てをばらす→顔を赤らめた先生は教室を飛び出す→女鬼が駆けつけてくる→僕、現行犯で逮捕されて『学生指導部』へ連行される→約15分後、女鬼が一人の男性教師と再び現れる→薄暗い部屋に見知らぬ男性教師と二人きりになる。

悪夢の学生指導部

うんともすんとも言えない瞬く間の出来事であった。気がつけば机を挟んで怖い顔の男性教師と向き合っている自分。それにしても今の状況は刑事ドラマのワンシーンに似てるんだなぁと思っていたら、その男性教師は気持ち悪い笑みを浮かべてこう切り出した。

「あのね…ヒョンソクだっけ。この部屋はよっぽどの事がない限りなかなか入れないどころだよ。まぁそれは置いといて。どうやらお前がクラスメイトの子たちを口説いて淫らな行為をさせたらしいな」

そして僕に一枚の白紙とペンを差し出して「この紙にあの手鏡で何をして、何を見たのか、詳しく書け」と言った。

「あのー。先生もやってみれば分かると思いますけど、あの小さい鏡じゃ何も見えたりしないんですよ」と言い返した途端。

先生はいきなり僕の顔面にこぶしのパンチをかましてきた。大人の男性のパンチをまともに食らったのは人生初体験。一瞬気を失いそうな衝撃が身体中に走り、唇を触ってみたら血が流れていた。

「ガタガタ言うんじゃない。国語の授業で習っただろう。動機ー過程ー結末がはっきりと書かれた陳述書を期待してるぞ。それじゃー30分後に戻るわ」

あ…それにしても3秒、いや、4人だとしてもたった12秒のイタズラがこんな惨劇を招くとは…。しかしチラ見でも出来たなら書けるモノもあるだろうに。何を書けっていうのか…。

でもあれこれ悩む暇もないし、一刻も早くこの部屋から逃げ出したい。ここまで来たらとことん書いてみせるしかない。エロ小説なら30冊も読み漁ったこの俺じゃないか。

1年生の時から数学先生は羨望の的でした。いつも先生の後ろ姿を眺めながら興奮してしまい、いつの間にか先生を頭に浮かべて毎晩『オ◯ニー』をするまで気持ちがエスカレートした次第です。で、罪悪感とは裏腹にパンツを覗き見することを決心。美術の授業で使った手鏡を用いて、見てしまいました。先生は美しい形をした白い網パンツを履いていたのですが、真ん中の割れ目だってくっきり見えた上に『マ❤️毛』が何本かはみ出ているのを発見し興奮のあまり、その場でついつい『オ◯ニー』をしたくなりました。しかしこういう実態を招いたことを深く反省しておりますし、数学先生には土下座でお詫びするつもりなので、どうかお許し頂ければ幸いです。

⇧これで何発か殴られて『状況終了』になるのだろうとてっきり思ったのだが。

先生は手をブルブル震わせながら何度も何度も読み返した挙句。悲壮な決意をしたかのような顔で、上着を脱ぎ、ワイシャツの袖をたくりあげる。そして両手ビンタ10連発で軽くエンジンをかけたのだが、何発かは鼻に当って綺麗な鼻血が流れてきた。

それで顔面攻撃はまずいと思った優しい先生。次は僕を壁際に追い込み、めっちゃ太いアイスホッケーのスチックで素肌のふくらはぎを華麗にぶち叩き始める。

で、多分20発を過ぎたあたりで、僕はあることに気づく。人間が耐えられる痛みって一線を超えちゃうと感覚が麻痺し、その後は何も感じなくなって声すら出ない。

先生はどんな思いで僕をぶち叩いているのだろう。もっとマシな学生になって欲しい過剰な優しさな。いや、中2の僕には絶対認知できない宇宙レベルでの教育愛が存在するかも。まぁそんなことを考えているうちに、愛のムチがピタッと止まる。

すでに汗だくになった先生は『〆のラーメン』のように、僕の胸元に跳び蹴りを炸裂させてからようやく部屋を出たのである。

その日、どうやって家にたどり着いたのか全く記憶がない。ただし、僕のピンと腫れ上がった顔と真っ黒に染まったふくらはぎをじっと眺めて、ハルモニとオンマとヌナが同時に泣き出したのだけは鮮明に覚えている。

その後…

気の強さだけは世界一のスーパーオンマは即女鬼に電話をかけ、かなりやり合ったようだ。もちろん、我が子がやらかしたことは断然悪いと認めた上での話だが、あそこまでボコボコにさせられるのは納得がいかない。

そしたら、女鬼はあんたの家庭教育が悪いから息子がどすけべになったとかなんとかでガンガン怒りまくったらしい。

僕はというと。そのまま自分の学歴は『中学退学』で終わりそうな危機感を覚え始め、もし学校を首になったらトッポッギの屋台でもやるしかないと考えつつ、もう悪さをしでかすのはいい加減やめようと真剣に思ったのである。

しかし、僕が学生指導部で書いた陳述書は教務室の中ですでに『たらい回し』にされた後のこと。翌日からは僕が授業を受けることすらボイコットする女教師もいれば、睨みつける女教師も、冷ややかな目で「この変態野郎!」と怒鳴る教師もいたので、女教師の授業の時はわざと学校の外に出て、トッポッギ屋台を構える場所を物色してたり。

まぁそんな生活が2週間続くと。ついにオンマも白旗を揚げて、白い封筒を片手に学校を訪れて女鬼にペコペコと頭を下げたというのだが、それでも女鬼は怒りを解けず。なんとオンマに1週間、反省文を毎日提出するようにと命じたそうだ。

その後の1週間。オンマは我が子のため。夜中に帰宅すると。ため息をついて嫌々と反省文を書いていたのだが、僕はそんなオンマを横目で見ながら黙って勉強をするふりをするしかなかった。

そんな親心のおかげで、なんとか中2の悪夢を振り払い、無事に3年生になったのだが、あの女鬼は僕の学生評価書に『遵法精神に欠ける淫らな学生』と書きやがったのだった。

それを見た3年生の時の担任先生(男性)曰く「えっ? お前、犯罪でも犯したのか? …っていうか。あ、お前が噂の…」。

僕はとぼけた顔で、頷くしかなかったのである。

次回は3月30日(水)更新!

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マッコリマン
tomodachinguのソウル本部長です。
主に企画をしたり、取材をしたり、文を書きます。
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