中1の秋頃から中2の新学期を迎えるまでの半年間。僕は背骨がぐっと伸びるのを実感できるほど、身長が伸びた。おそらく生涯で最も発育が旺盛な期間だったのであろう。それに、まぁ当たり前かも知れないが、『性に対する好奇心』だって勃勃と湧き上がる時期だったと言えよう。
日本ではどこにでもある週刊誌をめくれば『オッパイポロリン』の写真はいくらでも堪能できると思う。たぶん昔も今も。
しかし当時の韓国は『性』に関する社会的な規制が『宇宙一』厳しくて、野郎どもにとっては半端なく残念な時代であった。
血気盛んな男の子たちと言えば。いつかテレビの『洋画劇場』で観たのであろうピチピチの白人美女の谷間をつい思い出し、湧き上がる『ムラムラ感』と痛烈な戦いを繰り広げる毎日。なかでも、人間の想像力が無限に広がる深夜の時間帯が極めて辛かったと予想される。
そんな同世代の苦痛を一早くキャッチしていた僕は、クラス内で『AV資金』を集め、鐘路の『세운상가・セウン商街』の中でひそかに流通されていた3本セットの裏ビデオを購入。家が留守になった隙間を狙って『ポルノ上映会』を開催するといった善意のイベントを定期的に企画していた。
さらにラジオ番組のイベントで知り合った某女子中の遊び番長と連携して、ワイワイコーラ会を開くなど、学業とはかけ離れていたものの、当時の中学生たちの娯楽文化開拓にそれなりに貢献しつつ、無駄に多忙な日々を送っていたのである(笑)。
とんでもない教師たち
40を過ぎた今。中学の頃の記憶をたどると、あり得ないと思うほど常識外れの先生が多かったことに失笑を禁じえない。もちろん、常に賢明な姿勢を貫いた素晴らしい教師もいたのだが、生徒にとって何の取り柄もない教師もかなりいたのだ。
例えば、「外国のブランドを身につけた奴はみんなぶん殴ってやる」と宣言した体育の先生。次の週に、RayBanのグラサン、Levisのジーパン、nikeのシューズの姿で堂々と現れて、アメリカにいる親戚にプレゼントされたとのんきに言う。
さらに建物のペンキを塗り替えるといった名目で、500ウォンずつ持ってこいと全校生徒に指示を出した悪徳校長。
その他、くだらないことに腹を立てて、生徒の顔面にパンチを放つ。お前は成績が落ちたからと言って蹴っ飛ばす。教科書を忘れてきてビンタ連発。髪の毛が長いという理由でアイスホッケーのスティックで爪先を何回も叩く。などなど。
今の時代なら暴行犯として現場逮捕されるのであろう単なるイジメに過ぎない『処罰』が蔓延していたのだが、教師たちはそれを『愛のムチ』だと正当化していた。
まぁ我々の世代はそんな教育が未開な時代を生きていたのである。
『鬼』と呼ばれた担任
そんな中、先生たちを話題に学校のパイセンたちと話をすると。『◯◯先生』は何があっても避けるべし! 1年間悪夢ばかり見た! 親がお金を吸い取られた! マジで学校辞めてやろうと思ったよ! と10人中の9人が口を揃えて『鬼』と名指す先生がいた。
でも、いくらなんでも学生が担任を選べるなんて考えられない話。僕は鼻で笑って軽く流したのだった。
が、いざ新学期が始まり、軽やかな足どりで2年生の初日を迎えた僕の目の前に、あの『◯◯先生』が現れたのである。
女先生で超短身。そしておそらく地球上のどの人類が見ても「タチ悪そうな顔」と評するのであろう恐怖的な容貌の持ち主。
まぁそんなことは置いといて、彼女は生徒との初対面の場でこんなことを言い放ったのである。
「あのねー。既に噂を聞いた人がいるかも知れないけど、私はこの学校で『鬼』と言われているのよ。これからの1年間、みんな覚悟した方がいいかもね。ということでヨ・ロ・シ・ク。ふふふ」
あ…パイセンたちが言ってた通り強烈に不気味な人…。これは、なんとなくトラブリそうだなぁとめちゃくちゃ悪い予感がしてきた。おそらく教室のクラスメイトも全員こんな思いで、僕みたいに顔を伏せていたのであろう。
そしてそんな悪い予感はのちに現実となり、僕は死ぬまで忘れられない『お仕置き』をあの『鬼担任』から受けることになるのだが…